<大パンダ>

 第6景  「ハワイの冷蔵庫 (2002.1.12)

  アレルギー外来に受診の喘息のゆうたくん、5歳。いつもご挨拶と物腰がていねいなゆうたくんのママです。「せんせい、こんにちはー。」 「G先生、今年もよろしくお願いいたします。」
「こんにちは。こちらこそよろしくです。」とわたし。
「それでどうでしたでしょう?」
「ほら、今日の写真ではこんなふうに肺炎の影は90%は消えてきれいになってますよ。」
  二枚の胸部X線写真を並べて説明します。

「おかげさまで肺炎がなおる間も、発作がなく、無事にこのお正月も過ごせました。 これでハワイに行ってもだいじょうぶですよね?」
「ぼく、ハワイ行くんだよ。日に焼けてじょうぶになるんだよ。」とゆうたくん。
「へえー、そうかあ。ゆうたくん、うみでおよげるかな。にいがたのうみでおよいだことあるのかい?目が痛いんだよね。」
「あるよ、いしじ海水浴場というとこ。ねえ、ママ。およげるよね、ぼく。」
「そうよね。浮き輪してですけど。」と笑顔のママ。
「ハワイですかあ、いいですねえ。いつお出かけですか?」
「それがあすなんですよ。あの熱を出したときのために、抗生剤を予備になんていただけますか?」
「ええ、いいですよ。お熱が出たときの座薬はいかがです?」
「それも追加してください。」
「オーケーです。ハワイのホテルに着いたら、お熱の座薬は冷蔵庫に入れてくださいね。」
  立って診察室の回転椅子をくるりくるりと回し始めていたゆうたくんの突然の驚きの声。
「えっ、ぼくがお熱が出たらハワイの冷蔵庫に入れるの?」

  ママとわたしは顔を見交わして、思わず笑いました。
  気をつけて、楽しいハワイ旅行をしておいで、ゆうたくん。