<大パンダ>


 第4景  「打つのはいやだ」 (2001.11.22)

  アレルギー専門外来で、診察室にお母さんといっしょに入ってくるなり、突然にけんいちくんの質問。
「きょう注射しない?」
「こんにちは、けんいち君。もちろん注射しないと思うよ。まあここに座りなよ。お母様もどうぞ、その椅子にお座りください。」
  小学一年生の彼は極端な注射恐怖症のようです。そんなに以前に注射したことが多いのかなあ?よそから転居してきた家族なので、昔のことはわかりません。最近秋になり喘息の発作が久しぶりに起こるようになって、近所のかたのおすすめで当科に来られたようです。
  問診と聴診と簡単なフローボリューム検査をやりました。わりと検査動作の理解は良いほうでした。うん、そんなに調子は悪くなさそう。吸入ステロイドとめぷちん・えあーのスペーサー指導とぜんそく日記の指導と内服の処方をしました。
「ええと。ちょっと、待ってね。いまお薬をこのコンピューターで処方するから。けっこう打つのがたいへんなんだよ。」
けんいち君、椅子から飛び上がりました。
「えっ、打つ?注射、やっぱり打つの?」と突然の恐怖の声。
「違う、違う。こうやって字を入れることをキーボードを打つと言うんだよ。」
「そうか。ほんと?ああ、びっくりした。」
 びっくりしたのはこちらも同じ。

「落ちる」、「滑る」は禁句の受験生のようなお子さんでした。