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 熱さまし用冷却シートの使用について
橋本 謹也
 たくさんの子供たちが発熱を主訴に小児科外来を訪れます。熱が出ると、ひと昔前までは氷枕をして寝ていることが当たり前でした。しかし、最近は熱が出ると熱さまし用冷却シートを額に貼って受診することが多くなりました。いかにも解熱して楽になるかのように宣伝される上手なテレビコマーシャルの効果もあって、色々な種類の冷却シートが市販され、たくさんの子供たちが使用しています。さて、その実際の解熱効果はどうなのか、また昨年乳児の熱さまし用冷却シートでの事故がありましたのでその概要と注意点について言及いたします。

1)解熱効果について
 熱さまし用冷却シートの効果については、東京女子医大小児科の社本の報告(1)があります。4〜15才の入院中の患児15名について熱さまし用冷却シートの解熱効果とリラックス効果について検討しています。結果、熱さまし用冷却シート使用前後で全例に解熱効果を認めないという結果でした。それに反してリラックス効果(副交感神経優位状態)は15名中8例(53%)に認められたという結果でした。この結果から言えることは、発熱に対する解熱としては今まで小児科医が指導してきた水分の補給薄着にして体の中心部(首周り、腋裔、ソケイ部など)の冷却(悪寒の時は冷却を控える)発熱による体力の消耗が著しい場合の解熱剤の使用などがやはり一番大事なことと思われました。しかし、冷却シートもリラックス効果を認めるので、発熱に伴う不快感の軽減には多少効果があるものと思われます。
 高熱時における熱さまし用冷却シートの効果は過信せず補助手段と考えて、冷却や水分補給などを十分に指導することが重要と思われます。

2)事故について(2)(3)
 平成16年4月下旬北海道内において、発熱した生後4ケ月の男児の額に熱さまし用冷却シートを貼り看護していた母親が、夕食の後片付けのため目を離した隙に、熱さまし用冷却シートが男児の口と鼻を塞ぎ窒息状態となりました。患児は救急車で搬送後様々な治療によって救命されたものの、低酸素性虚血性脳症が認められ、今後将来にわたり全介助が必要なほどの重度の障害が残る可能性が極めて高い状態となりました。
 国民生活センターで事故と同製品の「子供用」7銘柄、「ベビー用」4銘柄の粘着カとシートの大きさを調べました。結果、粘着カはどれもほぼ同じ程度で、子供用のシートの大きさもほとんど同じでした。つまり、子供用のシートは多少の差はあるものの、どの銘柄も乳幼児の鼻と口を覆うことが出来ると考えられました。
 今後も同様な事故が起こる可能性は十分考えられるため、
 
口や鼻に貼り付かないように注意する
 観察が十分できない場合は貼ったままにしない
 出来るだけ貼り直しをしない

などの注意を守って使用することが必要と思われます。


参考:
(1) 辻本奈美 小児用冷却貼付剤の効用について チャイルドヘルスVol3.No5.39-40
(2) 日本小児科医会ホームページ
(3) 国民生活センターホームページ