18)子育ての目標 その3

「おしりー、ちんちん」

 子どもが笑顔で「おしりー、ちんちん」といって大人の顔をみます。「えー、やめなさい、そんな言葉」と言うと、子どもはうれしそうに「おしりー」を連発します。保育園で覚えてきたようです。子どもにとっては「おしり」や「ちんちん」に興味があるのではなくて、大人の反応を喜んでいるのは見え見えです。ママ同士の話が長くなると、となりで待っていた子どもが「ねーねーママ・・」と話しかけます。「今お話ししているからあとでね。」と言っても「ねーママ・・まだあ?」と繰り返します。ママもうるさくなって「ちょっとうるさい、黙ってて!」。長話のママに、子どもが自分のことも忘れないでと言っている場面です。子どもはママから注目されたり、関心を持ってもらうことが大好きです。だいたい、普通におとなしく遊んでいてもママが注目してくれません。でも、下の子にちょっかいを出して泣かせたり、「ポンポンが痛い」など言うとママが飛んできます。ママがついムカッとなったり、心配したりすることも、子どもにとってはママの注目・関心をゲットできるわけですから手ごたえ十分ということになります。

所属すること

 「困った子だわ」とママが感じる子どもの行動は、多かれ少なかれママの注目・関心を得ることが目的です。下の子が生まれた後の上の子の赤ちゃん返りはまさにこの注目・関心が目的です。

子ども達がこのように親の注目・関心を欲しがるには理由があります。「暇だから」とか「寂しくなると・・」ということではありません。実は子どもだけではありません。いちいち意識はしませんが、大人だって他人からの注目・関心は重要です。ヒトはもともと集団で生活する動物であるがゆえに、集団に所属することを本能的に求めるのです。それゆえ、無視される、仲間外れにされるということには不安や恐怖感を感じるのです。自分には仲間がいる、人とつながっている、所属しているということを確認することで安心し、暮らすことができます。

やがて社会で

 子どもは、初めはママとのつながり、やがて家族の一員として暮らし、成長していきます。そして、やがては社会の中で、自分の役割を果たしながら生活していきます。自分の仕事や行動が少しでも人の役に立った時、そしてそのことで人から感謝されたとき、自分が確かに所属しているという実感を持つことができます。これは子どもも同じです。家族の中で自分がしたことが、家族の役に立ち、「ありがとう」といわれた経験。それは子どもにとって宝物になるはずです。「ありがとう」と言われることで「自分には能力がある」とか「まわりの人たちは自分の仲間だ」と感じるでしょうし、ここが自分の居場所だと実感すると思います。うちの子は叱られることしかしない、とおっしゃる方もいらっしゃいますが、探しましょう。必ずよいところがあるはずです。遊びつかれて寝てしまった子どもの寝顔を見てあげてください、かわいらしい寝顔に「ありがとう」ですよ。