7)インフルエンザワクチン

今年(平成27年)のインフルエンザワクチン

毎年10月から12月はインフルエンザの予防接種のシーズンです。もうすでに接種を済まされた方も多いことと思います。今シーズン(平成27年)のインフルエンザワクチンは3価から4価にバージョンアップされました。そのため接種料金が値上げになっています。これまでのワクチンにはA型が2種類、B型が1種類の3価(3種類)の抗原が入っていました。しかしB型インフルエンザは2種類の系統があり、ワクチンに含まれていない系統が流行すると効果がない状況でした。この問題を解決するためにB型2系統を両方入れたものが4価ワクチンです。したがってワクチンの守備範囲がより広くなりました。接種方法は変わらず、13歳未満は4週間ほど開けて2回接種、13歳以上は1回接種。赤ちゃんは6ヶ月以上が対象です。

インフルエンザワクチンの効果

この夏に、慶応大学などの研究チームによるインフルエンザワクチンの効果についての報告がありました。それによると、ワクチン接種によってA型の発症防止効果は7割であり、重症化もA型全体で7割減ったそうです。残念ながらB型は全年齢で発症防止効果は2割程度であり、重症化を防ぐ効果はみられなかったとのことです。乳児と中学生で効果が不十分であったという指摘はありますが、従来から効果が弱いと言われてきた子どもたちでも1〜2歳で72%、3〜5歳で73%のA型の発症防止効果がみられたというのは頼もしい知らせでした。

妊娠中のインフルエンザ予防接種

時々、妊婦さんからインフルエンザの予防接種について質問されることがあります。胎児への影響を考えてのご心配だと思いますが、妊婦さんへの接種は可能です。妊娠中にインフルエンザに感染すると重症になることが知られています。また、妊娠中のインフルエンザ感染は早産のリスクが高くなります。このようにインフルエンザ感染は妊婦にとって大きなリスクですが、予防接種により感染予防や感染した時の重症化を予防し、早産を減らすことが期待できます。妊娠週数には関係なく接種は可能です。また、妊娠7ヶ月以上で予防接種すると生まれてくる赤ちゃんのインフルエンザ感染が63%少なくなったという報告があります。つまり、妊婦自身だけでなく生まれてくる赤ちゃんにも効果があるのです。(注意:インフルエンザワクチンは安全に接種できますが、麻しん風しんなどの生ワクチンは妊娠中の接種できません)

インフルエンザワクチンの未来

現在のインフルエンザワクチンは予防のためには毎年接種する必要があります。インフルエンザウイルスが変異していく性質があるためです。しかし、そのような変異に関係なく効果が出るワクチンの開発が進んでいます。いわば万能インフルエンザワクチンです。それが完成すれば毎年の接種が必要なくなるかもしれません。また、新型インフルエンザへの効果も期待できます。さらに、注射ではなくスプレータイプのワクチンも開発中です。鼻やのどに向けてひと吹きするというものです。粘膜表面の免疫力を上げるため感染そのものを防ぐ効果が期待されています。なによりも注射でないというのは子ども達にとって朗報ですね。