12)ママのおしゃれ

 日本小児科学会の傷害速報の報告から紹介します。生後2ヵ月の男の子の赤ちゃんが自宅の8畳間の床上に寝せられていました。赤ちゃんのそばでママが除光液を使いマニキュアを除去していました。ティッシュペーパーに除光液を振りかけ、手足合計20本の爪からマニキュアを除去するのに約15分かかったそうです。その間、においが充満していることには気づきましたが、換気はしなかったそうです。赤ちゃんは変な声をだした後12時間眠り続け、飲む力もなくなり、嘔吐を繰り返し、反応が鈍くなっていったそうです。入院治療を行い、しだいに哺乳もできるようになり4日目に退院しました。発症状況からアセトン中毒と診断されました。

アセトンはマニキュア除光液に70%程度含まれています。マニキュア落としのときに蒸発し部屋に充満します。においに気づくと換気をするのですが、このケースでは換気をしないで寝てしまい、高濃度のアセトンを含んだ空気の中で赤ちゃんが寝かされていました。その後の実験では、部屋のアセトン濃度は床に近いほど高い濃度になっていることが判明しました。除光液を使う場合は換気しないと同室の赤ちゃんがアセトン中毒になる可能性があります。