6)室内犬について

妊婦さんに小児保健指導をしていると「室内犬がいるのだが大丈夫でしょうか?」と質問されることがあります。赤ちゃんが生まれる前から室内犬を飼っているご家庭も多いと思います。私の経験では犬による事故で赤ちゃんが受診することはめったにありませんが、日本小児科学会の傷害速報に犬による咬傷の事故例が載せられているので紹介します。生後4ヶ月の男の子の母の実家で、ミニチュアダックスフンドを室内で飼育していました。居間の床に敷いた布団の上でその子は昼寝をしており、母と祖母は家の中にはいましたが15分程は居間に誰もいませんでした。祖母が様子を見に行ったところ、赤ちゃんは顔面蒼白で、オムツには犬に咬まれた跡があり外陰部から出血していました。ただちに救命救急センターへ搬送、右陰嚢の挫滅創があり、犬咬傷による右精巣の粉砕が認められたため、右精巣摘出術が施行されました。術後の経過は良好でした。犬は食べている時に手を出したり、嫌がることをすると咬まれることがありますが、生後4ヶ月児ですから子どもが犬に何かしたことで咬まれたものではありません。オムツを咬まれていますので尿のにおいに反応したのかもしれません。室内犬を飼っている場合は、犬が赤ちゃんに接触できる状況は避けたほうが安全です。